研究課題/領域番号 |
19300084
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
正村 俊之 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00209420)
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研究分担者 |
山内 志朗 慶応大学, 文学部, 教授 (30210321)
柴田 邦臣 大妻女子大学, 社会情報学部, 専任講師 (00383521)
伊藤 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30232474)
遠藤 薫 学習院大学, 法学部, 教授 (70252054)
大黒 岳彦 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (30369441)
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キーワード | コミュニケーション / 身体 / メディア / 情報 / 情報空間 / 相互行為 / 因果論 / 意味論 |
研究概要 |
情報技術は、20世紀後半には情報ネットワークの拡大として進展したが、今やユビキタス技術の誕生にょって新たな展開を遂げつつある。情報ネットワークの究極の形態としてのインターネットが時空的距離の圧縮によって世界のグローバル化を推し進めたのに対して、さまざまな物質に人工知能を埋め込むユビキタス技術は、物質が占める時空的位置の重要性を高め、それによって意味世界と物質世界の境界変容という新しい原理的問題を提起している。本研究は、こうしたユビキタス時代を射程に入れた、社会情報学基礎論としてのコミュニケーション理論の構築を企図している。 初年度である平成19年度は、社会学および哲学の視点から既存のコミュニケーション論の問題点を摘出し、新たな展開の方向を模索した。20世紀において行為論に代わってコミュニケーション論が社会理論の基礎に据えられたが、現代のコミュニケーション論にも伝統的な行為論を特徴づけていた三つの要素、すなわち(1)個人を分析的単位とみなす「主体主義=個体主義」、(2)行為者の意図・動機に基づいてコミュニケーションを説明する「心理学的意味論」、(3)行為とその因果的帰結を一対一のリニアな関係で捉える「古典的因果論」がさまざまなかたちで残存していること、そして主体や世界-現代社会のなかで立ち現れてきている新しい主体や世界-の形成を説明する基礎理論としてのコミュニケーション論を構築するためには、(1)原基的メディアとしての「身体」、(2)各種の「メディア」、(3)世界を表現する「情報空間」に関する原理的考察を行うことが必要であることを確認した。その共通の理解に立って、山内と大黒は「身体」、伊藤と柴田は「メディア」、遠藤と正村は「情報空間」をそれぞれ中心的な主題に取り上げながら分析を進めた。
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