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2007 年度 実績報告書

投資行動における熟達化の解明とその投資教育支援システムへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 19300085
研究機関東京大学

研究代表者

植田 一博  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60262101)

研究分担者 和泉 潔  独立行政法人産業技術研究所, デジタルヒューマン研究センター, 主任研究員 (10356454)
キーワード行動経済学 / 模擬市場実験 / 行動バイアス / 人工市場モデル / シミュレーション / リスク選好 / 相場付き / 投資行動
研究概要

本研究では,市場における投資家の行動バイアスに注目し,市場要因ならびに個人要因が投資家の行動バイアスに与える影響と,逆に投資家の行動バイアスが市場の価格形成に与える影響を,行動経済学の観点から検討した。
研究1では,投資行動に影響を与えている市場要因ならびに個人要因を実験的に明らかにした。具体的には,プロトレーダーと個人投資家を対象として,市場要因であり,相場付きを表すトレンドの有無と変動幅を様々に組み合わせた,模擬的な株式投資実験を実施した。同時に,個人要因であるリスク志向性を判断するためのリスク選好テストを行った。さらに個人要因としては,投資の熟達度も考慮した。その結果,(1)市場要因は,投資の量的側面であるリスクテイク量のみに影響していること,(2)取引手法のうち順張り,逆張りの選択は,市場要因の影響は受けずに,個人要因であるリスク志向性の影響を受けていること,(3)損失先送り効果の有無は,個人要因である熟達度の影響を受けていること,が明らかになった。
研究2では,研究があまり進んでいないトレンド追随行為に注目し,市場参加者のトレンド追随行為が実際に市場の非効率性に影響を与えているか否かを実証的に明らかにすることを試みた。第一に,1994年〜2005年の日米の実データ(分足データ)を使用して,代表的なテクニカル分析手法の一つである売買活況度の有用性が,投資家の情報解釈の有無に依存するかどうかの検証を行った。その結果,特に情報解釈の少ない期間での売買活況度の有用性が確認された。このことは,売買活況度の有用性が,トレンド追随行為のような情報解釈に依存しない要因で説明され得ることを示している。第二に,投資家のトレンド追随行為を組み込んだ人工市場モデルが,情報解釈の無い条件下でも,実データによって示されたのと同様な売買活況度の有用性を再現できるか否かを検証した。その結果,本モデルが実データによって示されたのと同様な売買活況度の有用性を再現できることが明らかとなった。以上より,トレンド追随行為が売買活況度の有用性を高めている可能性が高く,市場参加者のトレンド追随行為が市場の非効率性へ影響を与えていることを示すことができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 相場付きとリスク選好が投資行動に与える影響の分析2008

    • 著者名/発表者名
      岩崎 雄斗・植田 一博・伊藤 祐輔・和泉 潔
    • 雑誌名

      情報処理学会研究報告 ICI-151

      ページ: 79-84

  • [学会発表] Relation between Investors'Behavioral Biases and the Usefulness of Trading Volume2007

    • 著者名/発表者名
      Miwa, K & Ueda, K
    • 学会等名
      The 6th International Conference of Computational Intekkigence on Economics and Finance
    • 発表場所
      アメリカ合衆国・ソルトレイクシティ
    • 年月日
      2007-07-20

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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