研究課題/領域番号 |
19300086
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
小沢 一雅 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (40076823)
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研究分担者 |
猪原 正守 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (40184791)
加藤 常員 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (50202015)
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
北條 芳隆 東海大学, 文学部, 教授 (10243693)
岸木 直文 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (80234219)
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キーワード | 考古学 / 日本史 / 情報システム / モデル化 / 情報工学 |
研究概要 |
古墳時代の情報学的復元をめざした各地の前方後円墳の相互関係の推定と、それを補強する文献からの情報抽出に必要なデータ収集(史料収集や現地調査を含む)をほぼ計画どおりに実施した。本年度の主要な実績は、(1)古墳時代の幕開けをしるす箸墓古墳の実測図(原図は宮内庁書陵部管理、学生社刊)の電子化にもとづく数理的分析、(2)東海・関東地方に遺存する前方後円墳の相互的関連性分析、および(3)魏志倭人伝が伝える朝鮮半島から九州島に至る島嶼地区の環境と里程に関する記述情報の実地検証である。 (1)の意義は、古墳時代の起点となる箸墓古墳の築造に必要とされる費用(支配人口換算)は最低限どの程度に見積もられるかを数量的に明らにすることにある。これによって、前年度までの研究で得られた推定古代人口(人口曲線)との対比から、築造可能な上限年代をおさえることができることになった。(2)については、古墳時代、大和政権の支配域が東方へと拡大していくにあたってどのような拠点地区を経由したか、さらに拠点となった各地区勢力の強弱、各地区間相互の親縁関係、各地区と畿内中央政権との親縁関係などについて、遺存する前方後円墳の形態と規模からの分析・推定を実施した。従前の考古学的知見との整合の問題は残っているものの、一定の意義を認めうる結果を得た。(3)日本古代に関する貴重な情報源である魏志倭人伝には、朝鮮半島から九州島に至る旅程の記事があり、そこには島嶼地区(対馬など)の自然環境と対馬-壱岐、壱岐-九州北岸(松浦半島)などの区間の里程がしるされている。これらが高い信頼度をもつ情報であることを実地検分(対馬島内の地形視察調査、および船舶による渡海体験調査)によって確認した。
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