前方後円墳という日本古代のモニュメントを軸にして、古墳時代とそれに先立つ弥生時代(邪馬台国の時代)を射程に入れた古代の復元的解明をめざす。研究計画は以下のとおりである。 (1)前方後円墳のシステム型理解にもとづいて前方後円墳の調査データ(出版公開データも含む)を分析し、「個」の関係と特性、集団の関係(ネットワーク)を抽出する。 (2)古墳時代にかかわる文献情報(従前の史学的成果物)を収集し、古事記・日本書紀が伝える情報、とくに年代情報について精査を行う。この結果を基礎に、数理モデルによって記紀の年代軸を再構成し、従前の古代史解釈における年代観の是正をはかる。 (3)前方後円墳にかかわる従前の考古学的知見(研究成果物等)を収集し、上記で抽出した個と関係性との整合をはかる。矛盾点については、情報学的・数理的な検討を加える。 (4)上記(1)~(3)で得られた知見群にもとづいて、邪馬台国から古墳時代に至る日本古代を情報学的に復元する。とくに、数理的な方法論を重視し、従前の伝統的方法とはちがった視点からの復元をめざす。
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