研究概要 |
震災の影響で、最終年度の執行予定の一部が今年度まで持ち越しとなったが、今年度新たに採択された研究プロジェクトが、先年度の研究をさらに発展させる内容であったため、本研究主題に基づく研究活動は、発展的に継続されることとなった新規プロジェクトの内容を見据えたものとなった。特に、『古事類苑』データベースの全文データに対して、和暦を自動的に兼修して太陽暦に換算した暦日情報を新たに付加する暦日付加プログラムの適用対象は、前年度時点のものに加えて、今回は飲食部・方技部・植物部1に対して暦日データを付与して、9,000ページ余のデータが蓄積できた。これらの成果は、共同研究形態をとる新規プロジェクトのための貴重な基盤資源となった。 また、地名オントロジについては、実験的に中国の歴史地名についての調査を行った。具体的には、晩唐の詩人胡曽の『詠史詩(胡曽詩)』に扱われる歴史地名のGIS情報を求め、それを参考に作者の移動経路と作品の作成頂序を求めることを試みた。氏姓との弁別が困難な日本の地名と異なり、中国の地名は同名異所が多く、しかも定説を求めづらいという事情が明確となり、必ずしも良好な結果を得たとは言えなかったが、オントロジの構築のためには有効であった。また、作業の過程で、小地名の確認とGIS情報の収集のためにも、現地調査の重要性を痛感することとなった。こうした課題については、次期プロジェクトにおいて取り組むこととしたい。
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