研究課題
基盤研究(B)
哲学用語「存在論」に由来する「オントロジ」は、情報学では「概念間の関係の明確な定義の集まり」として、情報元から独立した上位層で、情報を組織化し、検索を支援するために重要な存在であるが、その実は、その名称の来歴が示す通り、有史以来の普遍的な営みでもあった。和漢の古典においては、類概念(分類用概念語彙)で統御される辞書や辞典が、継承性の高いオントロジの宝庫として、情報の組織化と文化的価値の継承の役割を担い続けてきたからである。研究代表者は、かかる古典学の継承性に着目して、類聚編纂物中の階層的に表現される分類用概念語彙を集積し、情報資源として現代生活や社会に応用し得ることを明らかにしてきた(2003~05年度基盤(B)「和漢古典学のオントロジモデルの構築」[代表:相田])。本研究は、情報処理機器でサポートされる機会の稀な、日本の前近代文献を対象に、古典的語彙オントロジ・時間(日本旧暦オントロジ)・空間(日本歴史地名オントロジ)の3者のオントロジを組み合わせた利用を構想し、原資料から、時間情報を切り分け、知識発見を促すためのツールを開発、その利用と開発研究を通じて、研究モデルの提示を進める実践的応用研究に取り組むものである。具体的には、和漢オントロジ・日本旧暦オントロジ・日本歴史地名オントロジ3種の階層的オントロジを、日本の古典籍本文へ埋め込むことにより、情報ナビゲート機能を有するフルテキストコンテンツを構築することを構想するものである。そして、そのためのツールの開発のために、不規則な記述にも対しても暦日情報が自動付加されるツールを開発し、あわせて、知識発見をサポートするためのオントロジの整備を進めるのみならず、関連するオントロジ資源の共有を促すものである。そして、そのことを通じて、前近代文献世界の知識発見モデルの提示と研究の進展と活性化をめざす。
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情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ 2009-CH83-2
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情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会報告 2007-CH-76
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情報処理学会論文集「人文科学とコンピュータシンポジウム2007」 Vol. 2007, No. 15
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