研究課題
本年度は、最終年度であるため、これまでの研究をさらに展開させるとともに、取りまとめを行った。チンパンジーを対象にした研究では、自己身体の動作による環境への働きかけにおける行為の主体感の研究をさらに推し進めた。アイトラッカーを組み合わせての研究の結果、チンパンジーとヒトでは、行為の主体感を生み出す手がかりに違いがあることが示唆された。つまり、チンパンジーでは、行為の持つ目標指向性が重視されるのに対し、ヒトではそれだけでなく、運動学的な情報も利用していることが強く示唆された。また、2個体のチンパンジーによる身体動作の非意図的な同調過程について検討を行った。さらに、物体の運動方向の判断に及ぼす絵画的表現や物体の向きの効果についての検討も進めた。さらに、1個体のチンパンジーを対象に、装着型の視線計測装置の利用の馴致を行い、このようなアイトラッキングシステムがチンパンジーに適用可能であることが示された。イルカでの研究では、名古屋港水族館の上野友香、斉藤豊、小倉仁、原功次郎、日登弘、祖一誠各氏らの協力のもと以下の研究を遂行した。まず、プロジェクタースクリーンに投影されたトレーナーのサインの理解の実験を行った。スクリーン上のサイズを小さくすると、サインの応答しなくなった。これが視力の問題なのか、トレーナーのfamiliar sizeの知覚の問題なのかについて、今後さらに検討する必要がある。また、イルカの身体方向に対して様々な向きからサインを呈示し、それをどのように理解しているのかについての実験を行った。さらに、イルカについても2個体が同時に行う動作における非意図的な同調の過程についての実験を進めた。これらの成果を、学会や研究会等で積極的に発表するとともに、論文公表に向けての作業を進めている。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件) 学会発表 (11件)
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