研究課題
病原体のゲノムは多くの場合、突然変異率が高い。集団が宿主の強い淘汰圧を受けると、適応的な変異が効率的に選択される。昨年度は、タヒパク質複合体の結合能をアミノ酸配列の経験尤度比で記述した。本年度は、宿主内におけるウィルス集団、宿主細胞、抗体の動態を数理モデルで表現した。モデルの係数の重要な部分は受容体との結合能、抗体との結合能である。これにより、種々の配列の変異に対して、宿主内のウィルス集団の大きさを計算し、さらに変異株が宿主集団に固定する確率を求めることが可能となった。昨年度開発した、ウィルスゲノムの組換えのベイズ階層モデルについては、シミュレーションを重ねて推定手法の有効性を証明した。ゲノムの適応進化の多くの推定手法は、系統関係(トポロジー)を所与として配列間の相関関係をモデリングする。しかし、ゲノムに組換えが起きると、これをはさむ2つの領域は異なるトポロジーを持つ。隣接サイト間の組換え距離にボアソン分布を導入したベイズ階層モデルは、組換え位置を既知として各領域のトポロジーを個別にベイズ推定した場合よりも、さらに高い信頼性を持つことが示された。組換え距離の事前分布を導入することの有効性が確かめられた。プログラムをbiomc2として公開した。さらに、タンパク質の進化を駆動する突然変異を自在にモデリングすることを可能にするために、コード領域の進化モデルの統計的比較について、理論枠組みを整備した。突然変異は塩基レベルで起きるが、3塩基の組み合わせであるコドンがアミノ酸に翻訳される。塩基置換は4要素の状態空間を持つマルコフ過程で記述されるのに対し、アミノ酸置換は要素20の状態空間を持つマルコフ過程で記述される。アミノ酸置換モデルをコドンモデルに埋め込むことにより、塩基置換モデルの尤度とアミノ酸置換モデルの尤度とを比較可能にした。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (15件) 図書 (1件)
Gene (In press)
PLoS ONE. 3
ページ: e2651
Systematic Biology 57
ページ: 367-377
Insect Biochem. Mol. Biol. 38
ページ: 1058-1065
ページ: e3343
Journal of Evolutionary Biology. 21
ページ: 1555-1559
Systematic Biology (In press )
Aquaculture. (accepted)
統計数理 56
ページ: 37-54
ページ: 19-36