研究課題
1塩基多型(SNP)などのDNA多型データを用いた症例-対照関連解析は、疾患感受性遺伝子を見出す解析法として用いられている.症例-対照関連解析の中でも疾患感受性遺伝子を効率的に検出するための研究デザインとして、2段階法や3段階法があり、その解析手法としてReplication-based analysis (RBA)とJoint analysis (JA)のふたつが知られている.本研究の目的は、多段階関連解析法の特性を明らかにすることである.具体的には、実際のSNPs解析で起こりうるさまざまな条件の下で、RBAとJAの統計学的検出力と陽性反応適中度ならびにタイピング数の特性を調べた.本研究目的のため、著者はプログラム言語としてMathematicaならびにRを用いて、RBAならびにJAによる検出力とPPVならびにタイピング数を算出するプログラムを開発した.結果は以下のとおりである.1.3段階法において、各ステージの症例割合を種々変化させたときの検出力とタイピング数を調べた.その結果、いずれの場合においてもJAがRBAよりも高い検出力を示した.2.最終ステージに残るアリルの個数が一定数なることを仮定し、2段階法では第1ステージでの有意水準=0.0001、3段階法では第1、第2ステージの有意水準を0.01、0.01(すなわちπm,1×πm,2=0.0001となる)と設定して2段階法と3段階法とを比較した.その結果、例えば、各ステージの症例数の配分を0.2,0.4,0.4のとき、2段階伝のRBAとJAの検出力はそれぞれ14.8%、14.9%、3段階法のRBAとJAの検出力はそれぞれ46.6%、54.8%となり、RBAならびにJAによる3段階法の検出力ならびにPPVは2段階法よりも高い値を示す傾向が認められた.一方、第1ステージの症例数配分が0.6以上の場合は、RBAならびにJAによる検出力とPPVは、3段階法よりも2段階法の方が常に高い値を示していた.3.症例数を増加させることにより各多段階デザインの検出力ならびにタイピング数も上昇したが、各デザインにおける上述のような変化のパターンの傾向は変わらなかった.
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Journal of Human Genetics (印刷中)
Human Molecular Genetics 16(23)
ページ: 2854-69
新潟医学会雑誌 (印刷中)