研究概要 |
地表面の各観測メッシュが複数の土地被覆カテゴリで覆われている場合,その割合を推定する問題はunmixingと呼ばれる.この問題を混合ガウス分布およびマルコフ確率場に基づくアプローチで考察した(投稿中).また克服すべき課題も見つかった.また地表面のメッシュごとの森林被覆率を予測するため,人口密度および傾斜強度を説明変数とする非線形回帰モデルを考察した.まず森林被覆率を説明変数の階段関数で近似し,それによりスムースな非線形回帰モデルの候補を複数考え,AICで選択した.これにより誤差に空間相関を持つモデルが選ばれ,森林減少過程や地域差の考察が可能となった(掲載決定). また時間の経過にともなって高頻度で観測・測定されたデータや時空間データを,観測時点の不均一性や欠測,あるいは個体差や内在するノイズを考慮して関数化処理し,処理した関数集合に基づく非線形現象解明のためのモデリングと理論・方法論の研究に取り組んだ.さらにAICを研究の端緒とする統計モデル選択のための情報量基準について,この分野の研究の集大成的書籍を出版した.一方,高次元配列(テンソル)データの応用が画像解析、脳波解析,WEB解析など様々な分野で研究されている.テンソルデータ解析における基本的な問題には階数決定問題があり,これに対してのいくつかの結果を得た.また,比較的サイズの小さな3次元分割表に対して、時点tにおける条件つき推論のFRAMEから時点t+1における条件つき推論のFRAMEへの全射をアルゴリズム的に構成することができることを示した. なお,本科研費と科研基盤(A):統計科学における数理的方法の理論と応用(研究代表者:谷口正信)との共催で研究集会「高度情報抽出のための統計理論・方法論とその応用」(九大附属図書館視聴覚ホール2008/11/20-22)を開催した.本研究の分担者や研究協力者を含めた16件の研究発表があり,活発な討論が行われた.
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