研究概要 |
航空機搭載のセンサーから200次元以上の超高次元データが観測されるようになってきた.本年度は高次元の多重分光画像を観測したとき,各画素の土地被覆(カテゴリ)を推定する問題を考察した.画素を複数あるカテゴリの一つに分類する判別分析が一般的であるが,空間分解能が大きい場合,一つの画素が複数のカテゴリで被われていることが多い.そこで画素を被っているカテゴリの比率を推定するunmixingについて考察した.その場合,空間的に隣接している画素のカテゴリ比率ベクトルはお互いに近いものになっているはずである.この事前情報をマルコフ確率場としてモデル化した.また各カテゴリでの特徴ベクトルは正規分布に従い,複数のカテゴリで被われている場合は,正規混合分布で与えられると仮定した.このもとで局所事後密度の近似的最大化により被覆割合の推定方式を提案した.提案手法をシミュレーションデータや実データに適応したところ,十分な性能を有することが示された.その後局所事後密度の正確な最大化方式を導出できたため,200次元の実データに適応した.現在投稿中である. 一方,リモートセンシングに関連する話題として,地表面を正方形状に区切った領域における森林の被覆率を,人口や土地の起伏量で説明する非線形回帰モデルを考察した.誤差が空間相関を持つ多くのモデルのなかからAICでモデル選択を行った.また東アジアの4領域で同様のモデル選択を行ったところ,同一モデルが選ばれた.なお共同研究者はそれぞれ高次元データを関数化したデータ解析手法の提案,多次元テンソルデータ解析における数学的問題である階数決定問題についで研究し,論文発表を行った.
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