研究概要 |
統計法改訂の大きな柱である統計データの利用促進と秘匿措置の実現のために必要となる,「個票データの秘匿と公開のリスク評価方法」,「表形式データの秘匿と自動秘匿プログラム作成方法」,「秘匿データの有用性の評価方法」の確立を本研究の目的としている。 個票データは推定された母集団寸法指標を基にリスク評価されることが多いが,本年度もその推定のための新たなモデルが提案され,モデル間の相互関係についての研究も深められた。また,本研究グループによって,複数時点の個票データを同時にリスク評価するための多重寸法指標の利用が提案されていたが,母集団多重寸法指標のノンパラメトリック推定法についても理論構築が順調に進み,確率分割モデルの多重指標への拡張についても検討が行われた。表形式データの秘匿と公開のリスク評価についても昨年度に引き続き研究が行われ,秘匿措置の一つであるスワッピングについて進展が見られた。このようにして構築された理論の有用性を検証するために,労働力調査の個票データについて目的外使用申請を行い,実際の官庁統計データに対して種々の検討を行っているところである。 研究成果については,統計関連学会連合大会などで報告を行うとともに,国際シンポジウムや研究集会などでも報告,討論を行った。また,2008年10月23日,24日には,統計数理研究所において研究集会「官庁統計データの公開における諸問題の研究」を開催し,本研究に関連する研究者,官庁統計の実務者とも意見交換を行った。
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