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2008 年度 実績報告書

タンパク質フォールディングの大規模シミュレーションと大量軌道データ解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19300101
研究機関名古屋大学

研究代表者

太田 元規  名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (40290895)

キーワード分子動力学 / シミュレーション / スーパーコンピュータ / 軌道解析技術
研究概要

80アミノ酸残基からなる置換型λリプレッサのフォールディング過程を解析した.昨年度,AMBERを利用したシミュレーションを実施し,50nsの軌道を400本得た.1軌道あたり2500スナップショットからなるので,構造の総数は100万個となる.まず,λリプレッサがランダムコイルから天然状態にフォールドしているかどうかを確認するため,PDBに登録されている天然構造とシミュレーションで得られた構造のRMSD値を計算した.全構造中,最小RMSD値は4.72オングストロームであり,λリプレッサが完全な天然状態ではないが天然状態近傍までフォールドしていることが分かった.他方,2次構造解析からも特徴的なαヘリックス形成が見られたので,天然状態近傍に至る過程としてこの軌道解析は意義があると考え,解析を続けることとした.λリプレッサがフォールドするにつれ,その慣性半径が小さくなり相関が見られた.しかし,天然構造で見られるアミノ酸接触の割合を表すQ値は,ローカルコンタクトの割合が高いため天然状態近傍でも,他のアンフォールド構造でもほとんど変化がみられず、天然状態近傍へのフォールド過程を議論するには向かないことも分かった.次に,λリプレッサがどのような経路を通ってフォールドするかを調べるため,距離マップを用いて構造を階層的にクラスタリングし,その構造遷移図を作成した.全体像を把握するためにしきい値を7オングストロームに設定してクラスタリングを実施し,顕著なクラスタ遷移だけに着目したところ,おおよそ5種類のクラスタ集団が確認された.ランダムコイル状態で全体的にαヘリックスが形成され,1番目と4番目,そして2番目と3番目のαヘリックスの接触が強くなると,λリプレッサ全体がフォールドする傾向にあることが分かった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] タンパク質のフォールディング軌道を比較分類する2009

    • 著者名/発表者名
      太田元規
    • 雑誌名

      分子シミュレーション研究会会誌アンサンブル 11

      ページ: 24-27

  • [雑誌論文] Protein structural change upon ligand binding correlates with enzymatic reaction mechanism2008

    • 著者名/発表者名
      R. Koike, et al.
    • 雑誌名

      J. Mol. Biol. 379

      ページ: 397-401

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An enhanced partial order curve comparison algorithm and its application to analyzing protein folding trajectories2008

    • 著者名/発表者名
      H. Sun, et al.
    • 雑誌名

      BMC Bioinformatics 9

      ページ: 344

    • 査読あり
  • [学会発表] Motion tree法による蛋白質構造変化の階層的記述2008

    • 著者名/発表者名
      小池亮太郎, 他
    • 学会等名
      日本生物物理学会46回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20081203-20081205
  • [学会発表] タンパク質間相互作用におけるハブドメインの使い分け2008

    • 著者名/発表者名
      奥野晃裕, 他
    • 学会等名
      日本生物物理学会46回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20081203-20081205
  • [学会発表] 触媒ドメインの連結が代謝系酵素へ与える機能的変化2008

    • 著者名/発表者名
      丹谷恵子, 他
    • 学会等名
      日本生物物理学会46回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20081203-20081205
  • [学会発表] Amino acid substitutions on protein-protein interfaces that modulate alternation of oligomeric state2008

    • 著者名/発表者名
      Hafumi Nishi, Motnori Ota
    • 学会等名
      International symposium on frontiers of computational science 2008
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      20081127-20081128
  • [学会発表] タンパク質問相互作用面の形成-アミノ酸置換と会合状態変化2008

    • 著者名/発表者名
      西羽美, 太田元規
    • 学会等名
      第8回日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20080610-20080612
  • [学会発表] ヒト・マウスをターゲットとしたデータベース : COXPRESdbとSAHG2008

    • 著者名/発表者名
      木下賢吾, 太田元規
    • 学会等名
      第8回日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20080610-20080612

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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