研究概要 |
・これまでにPer,Cry,Bmal,Clock,Rev-Erb5つの遺伝子からなる概日リズム遺伝子機構のハイブリッド関ペトリネットモデルを作成しているが、これにRor遺伝子を加えたモデルを新たに作成し、Cell Illustratorを用いてこのモデルの光応答シミュレーションを実施した。その結果、Per(またはCry)とBmalの位相差を作るのに関与している遺伝子はRev-Erbと考えられていたが、そうではなくRorがこの役目をになっているという有力な仮説を得ることができた。 ・哺乳類の概日リズムは、ポジティブとネガティブの2つのループによって形成されているが、このループが相補的に働いて振動の安定性を高めるためには、RORタンパクがPER及びCRYタンパクと複合体を形成せずにBmal遺伝子の転写活性に働く必要があることがわかった。 哺乳類のPermRNAの光応答には主観的昼の光刺激にはほとんど反応せず、主観的夜の刺激に反応するという時刻依存性があることが知られている。この機構をモデルに取り入れ、光同調シミュレーションを行った。その結果、24時間に近い周期では振動は光に同調し、24時間から離れた明暗周期では同調できない結果となった。さらに興味深いことに、時刻依存性の光応答のモデルの方が2倍程度早いにより24時間の光周期に同調するという結果が得られた。この他、哺乳類は実際に主観的夜の光応答によって同調を実現しているが、シミュレーション結果から光同調にゲート機構を用いていることが有用であること示すことができた。
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