ここでの研究目的は、新しいコンピュータ・システムをデザイン・作成することで、今までにない計算を実現、特に形と形の計算プロセスをもとにした、原始生命システムの進化を理解するための新しいモデル群を提案することにある。 タイル型の整数演算プロセッサーシステムの構築を行なうための、チップデザインをおこなった。このチップを最終的にシリコンチップとして完成させるためには、いくつかの行程を経る必要がある。第一段階として、このチップデザインが正確か、計算通りに動くかを訓べるためにFPGAベースのシステムを構築することを決定した。 また人工生命系のシミュレーションでは、 1)Navier-Stokes方程式と化学反応をカップルさせた、自律運動する油滴の数値シミュレーションを行なった。渦の発生と化学反応がお互いに影響を及ぼし、油滴の寿命(非平衡状態)の緩和時間を長くしていることが示された。 2)空間的な場所をしめ、移動するシステムの抽象的なモデルを、カテゴリー理論を用いて構築した。 3)形による計算の国際会議で、原始的な膜システムのモデル計算の発表を行なった。このモデルでは、抽象化学計算を行ない、反応系が膜を生成して高密度で反応物質を包み込み、反応を維持することで膜に囲まれた系が自律運動を開始することが示された。この膜の堅さがモデルのパラメターでコントロールできるが、柔らかい膜の場合には、自発的にケモタクシス(走化性)を示すことが示された。
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