研究概要 |
本研究では,新しいEEG/MEG解析法である位相系列解析を提案した.通常EEG/MEGデータはチャネル,時間,エポックの関数として扱われるが,エポックだけが物理的な意味を持っていない.位相系列解析は,位相情報に着目することによって,エポック順に物理的な意味を持たせ,フーリエ重み付き加算平均を行う加算平均法である.フーリエ重みを持つことから,加算平均は0次,1次…と複数得られ,情報が保存される.ここで0次は通常の加算平均と一致するため,位相系列解析は拡張加算平均法と言える. 平成20年度は,平成19年度から経費を繰り越し,オンラインクロック同期EEG/MEG計測装置の試作を終えた.この実験装置を用いて位相系列解析を行い,以下の成果を得た 1)EEG/MEGチャネル,または電流ダイポール問の位相情報に基づくクラスタリングを行い,位相系列解析に必要なチャネル選択というパラメータを大幅に軽減した. 2)ボタン押し課題の有無に対し,前頭と後頭のEEGチャネルの位相同期を確認したところ,課題有の場合,より顕著に前頭から後頭への位相同期が確認された. 3)両眼立体視の情報バインディングについて,0度と180度のみの位相重みを持つ位相系列解析でEEGの解析を行った.この結果,立体感の有無の状態,立体感の無から有・有から無への状態変化,および単眼,両眼のEEGを分離することができ,単眼の反応は主に状態変化に,両眼の反応は状態に顕著に現れた.
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