1:行動プログラムごとに異なる細胞集団活性化パターンの可視化 本研究では、トランスジェニックHuC::Inverse Pericamを使って、遺伝学的にコードされたカルシウム感受性蛍光蛋白による神経活動の検出する観察システムを確立し、赤い光を条件刺激とする能動的回避恐怖学習を習得したトランスジェニック魚と、対照実験群のトランスジェニック魚を用いて、右眼に与えた赤い光に対する終脳と視蓋における反応を比較した。恐怖条件付け学習をしたトランスジェニック魚群の終脳では、対照実験のトランスジェニック魚群にない、新しい反応が現れた。 2:手綱核亜核の操作による恐怖行動の変化 我々は、ゼブラフィッシュの背側手綱核の外側亜核が投射する背側脚間核は、脅威や性的衝動に基づく本能的行動の中枢である中心灰白質に投射し、内側亜核が投射する腹側脚間核は、セロトニン神経細胞を含み戦略的行動プログラムの成立に関わる縫線核に投射することを証明した。このような神経回路を特異的に操作するために、トランスジェニック・ゼブラフィッシュを作成し、背側手綱核の外側亜核だけを選択的に破壊したり、神経活動を抑制できるようになった。このようなトランスジェニック系統は、恐怖学習の習得後、条件刺激を提示すると、完全に行動を停止した(フリージング、すくみ行動)。この状態は、条件刺激の提示終了後も数分間持続した。このことから、背側手綱核(哺乳類の内側手綱核)の外側亜核が、恐怖学習の成立や消去や、恐怖行動の選択と密接に関わっていることが明らかになった。
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