脳内のストレス関連コルチコステロイド受容体には、グルココルチコイド受容体(GR)とミネラルコルチコイド受容体(MR)の2種類が存在し、いずれもホルモン誘導性の転写制御因子である。低分子脂溶性活性物質のコルチコステロイドとの結合により活性化され、細胞質から核へ移行し、ホモあるいはヘテロダイマーを形成し、標的遺伝子のホルモン応答部位に結合してその転写活性を調節することにより、発生、分化、記憶・学習、ストレス応答など多彩な作用を発揮することが明らかにされてきた。しかしながら、ストレスや概日リズムなどによりダイナミックに変動するホルモン環境に応答し、脳内でこれら受容体がどのような挙動を示し、遺伝子発現の制御をしているのか、という生物学にとって極めて基本的かつ重要な問題が個体レベルでは全く解明されていないのが現状である。GFP-GRおよびGFP-MRノックインマウスを用い、培養細胞あるいは全脳レベルで、ストレス応答や概日リズムによるホルモン環境の変化に際してのこれら受容体の細胞内動態や発現の変動、相互作用などをリアルタイムに可視化して時空間特異的に解析し、in vitroおよびin vivoの両側面からコルチコステロイド受容体を切り口に、神経系のストレス応答メカニズムの解明に迫る。平成20年度も引き続き、GFP-MRノックインマウス作成用のtrasgenic regionを含むgenom cloneの作成、およびwhole brainレベルでの観察を試みた。
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