1…MAP kinase経路における上流、下流分子の決定、特にATP受容体に注目して MAP kinaseの活性化がどのような神経活性物質の発現を調節しているのか、すなわちMAP kinaseの下流に存在する分子について、特に代謝型ATP受容体が末梢神経障害後に増加することを発見した。研究の結果、P2Y12受容体がマイクログリアで増加し、この受容体のシグナルが下流のMAP kinase経路(p38)の調節に関与していること、さらにこのP2Y12及びp38の連関が、ニューロパチックペインモデルにおけるマイクログリアの活性化、疼痛メカニズムにおいて重要な役割を持っていることを解明した。これらの結果は、Journal of Neuroscienceに発表した。 2…神経障害性疼痛モデルにおけるグリア細胞におけるMAP kinaseの役割 MAPK kinase kinaseファミリーに属するTAK1(Transforming Growth Factor-Activated Kinase 1)が、神経傷害時に脊髄アストロサイトで増加することを発見した。TAK1のアンチセンスオリゴを脊髄腔内に投与し発現を抑制すると、神経傷害に伴う機械的刺激に対する痛覚過敏反応を抑制した。さらにアストロサイトにおけるJNK1(c-Jun-N-terminal kinase)の活性化を抑制したが、p38MAPKに関しては影響しなかった。これらの結果は神経障害性疼痛メカニズムにおけるアストロサイトでのTAK1/JNK1シグナリングの受容性を示唆している。これらの新しい所見は、GLIAに発表した。
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