脳βアミロイド沈着を防止する方法を検討するための基盤となる研究を進めた。理研の西道グループとの共同研究では、βタンパクの特殊なオリゴマーであprotofibrilを特異的に認識する抗体を用いた免疫電顕を行い、シナプスに蓄積する所見を得て投稿中である。長寿研のグループとは、ガングリ、オジド欠損マウスにおける脳βアミロイド沈着の変化を形態学的に検討し、ガングリオシドのタイプが脳血管アミロイド沈着に大きく影響することがわかり投稿した。また、研究分担者の埼玉医大の森は、平成20年度は、遺伝子操作マウスを用いた研究が遂行できるように、厳格な管理体制の元で良好な飼育環境が整っている動物施設(SPF飼育施設)から動物を供する体制を確立した。即ち、Taconic社より10週齢で購入した全てのアルツハイマー病モデルマウス(Tg2576マウス)に対して、導入遺伝子の確認(genotyping)そして導入されている遺伝子コピー数の確認(Rea1-time PCR法)を行い、19ヶ月齢までの長期飼育動物を安定供給できるシステムを確立した。そして、まずタンニン酸投与実験を遂行し、投与が終わったので結果を分析している。来年度はポリフェノールの本格的な投与実験としてフェルラ酸の投与を、またアルツハイマー病治療薬として注目されている物質の投与を行う予定である。 また、共同研究者の森は、ヒトS100B蛋白を過剰発現させた遺伝子改変動物とアルツハイマー病の病態モデル動物を交配させ、病態進展におけるS1OOB蛋白の関与を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、S100B蛋白の遺伝的過剰発現がアルツハイマー病の神経病理学的な病態[脳アミロイドーシス(老人斑形成)とグリオーシス]を進展(増悪)させることを明らかにした。
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