研究概要 |
1)DMRVモデル(GNE点変異マウス)の解析 GNE点変異マウスの月齢を追って,骨格筋の病理切片の解析を行ったところ,10ケ月齢を過ぎる頃から筋繊維に好塩基性封入体が認められ,DMRVの発症が疑われた。免疫染色により封入体の性状を解析したところ,ユビキチンやβアミロイドなどの蓄積が認められ,ヒトのDMRVと類似の病態を発症していることが明らかとなった。また,電顕観察でも封入体にオートファゴソーム様の構造物が認められた。各種のレクチンを用いて,筋繊維のレクチンブロットやレクチン染色を行ったところ,いくつかのレクチンでGNE点変異マウス特異的に変化を示すものが認められ,シアル酸の付加の程度が異なるタンパク質があることがわかった。現在それらの同定を進めている。 2)IgA腎症モデル(β4GalT-1欠損マウスの解析) GFPで標識したβ4GalT-1欠損マウスの骨髄細胞をX線照射した野生型マウスに移植して,IgA腎症の発症を試みた。しかしながら,β4GalT-1欠損マウスの骨髄細胞に何らかの欠損があるために生着率が悪く,他の免疫不全マウスを宿主にすることを検討している。また,逆の骨髄移植を行いβ4GalT-1欠損マウスに発症するlgA腎症の抑制を試みる実験を進めている。 3)β4GalT-2欠損マウスの脳神経系の解析 β4GalT-1に最も相同性のあるβ4GalT-2欠損マウスを作成し,行動解析と脳での糖鎖解析を行った。各種の行動解析をテストバッテリー方式に行ったところ,このマウスは空間学習と運動学習に障害があることがわかった。また,脳における機能性糖鎖の発現を解析したところ,HNK-1糖鎖の発現が著しく減少していることがわかった。
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