研究課題
SAMP1、SAMP6、SAMR1を含む一部のSAM系マウスのAbcb1a遺伝子に機能喪失型自然突然変異を同定した。これらのSAM系マウスではAbcb1a遺伝子のイントロン22とエクソン23の境界に、レトロウイルスに由来する約8.35kbのDNA断片が挿入されており、その結果エクソン23がmRNAに転写されず、ABCB1A活性を喪失していることが判明した。このデータに基づき、正常型と変異型のAbcb1a対立遺伝子を判定するPCR法を確立した。SAMP6系マウスは16ケ月齢までに、リンパ球を主体とする多数の白血球の大腸腸粘膜固有層、粘膜下層、筋層皮への浸潤を主徴とする軽度の慢性大腸炎を発症することを確認した。大腸炎の発症に関与する遺伝子を同定するために、(C57BL/6xSAMP6)F1xSAMP6および(SAMP1xSAMP6)xSAMP6戻し交雑仔群、さらに(C57BL/6xSAMP6)F2交雑仔群を作出した。現在、クリーンコンベンショナル飼育条件下で経過を観察している。Dextran sulfate sodium(DSS)の経口投与による大腸炎誘発に関する感受性を調査した結果、ABCB1A機能を喪失するSAMP1、SAMP6、SAMR1系マウスであっても、DSS誘発大腸炎に対する感受性は正常なABCB1A機能を有するマウス系統と同等であり、DSS誘発大腸炎に対する感受性は、むしろ他の遺伝的背景により強く規定されることが明らかとなった。
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Laboratory Investigation 87
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American Journal of Pathology 171
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http://dept.md.shinshu-u.ac.jp/i-byotai/h-gyoseki2.htm