研究課題
ABCB1A機能を喪失するSAMP1、SAMP6、SAMR1系マウスにおけるDextran sulfate sodium (DSS)誘発大腸炎に対する感受性を詳細に調査し、他の正常なABCB1A機能を有する数系統のマウス系統と比較した。その結果、ABCB1A機能を喪失するSAM系マウスであっても、DSS誘発大腸炎に対する感受性(DSS濃度依存度、および大腸炎の病理学的スコアー)はSAM系統間でも大きな違い(ばらつき)がありながらも、それは正常系マウスと同程度の範囲内にあることが明らかとなった。したがって、DSS誘発大腸炎に対する感受性は、ABCB1A機能の有無よりも、むしろ他の遺伝的背景により強く規定されることが示唆された。FVB/N-Abcbla^<-/->ノックアウトマウスを購入し、我々の飼育施設のクリーンコンベンショナル飼育条件下でも若齢(〜3ヶ月齢)で潰瘍性大腸炎を100%の頻度で発症することを確認した。そこで、潰瘍性大腸炎を好発させる遺伝的背景をもつと想定されるFVB/N系マウスと、活性喪失型Abcbla自然突然変異遺伝子をもちながらも、潰瘍性大腸炎の発症が高齢に限られるSAMP1系マウスを交配し、(FVB/Nx SAMP1) F2交雑仔集団を作出し、クリーンコンベンショナル飼育条件下で潰瘍性大腸炎の発症過程の観察を継続している。これまでの交雑仔集団における潰瘍性大腸炎の発症率は約6.25% (=1/16)であった。この発症率から、潰瘍性大腸炎の発症は二つの劣性遺伝子により規定され、これらの遺伝子がともにホモ型となることが大腸炎発症の必須条件である事が推測された。
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