研究課題
SAMP1とFVB/N-Abcb1a^<-/->マウス間に認められた潰瘍性大腸炎の発症率の系統差を規定するAbcb1a遺伝子以外の遺伝子群の関与の確認、さらにはそのポジショナルクローニングを目的として、SAMP1系とFVB/N系マウスの交配により、F_2交雑仔群を作出した。変異型Abcb1a遺伝子をホモにもつ201匹のF_2マウスのうち19匹が4ヶ月齢までに潰瘍性大腸炎を発症した。この発症率(9.5%)より、潰瘍性大腸炎の発症には変異型Abcb1a遺伝子以外に2個の遺伝的に劣性の遺伝子の関与が推測された。この19個体の潰瘍性大腸炎発症F_2マウスを用いて、マイクロサテライトマーカーを用いた潰瘍性大腸炎の遺伝連鎖解析を行なった結果、全19個体が第16番染色体のD16Mit155(63.5cM)とD16Mit51(66.75cM)マーカーにおいてFVB由来のホモ型であることが判り、ABCB1A欠損条件下での潰瘍性大腸炎の発症を抑制する優性遺伝子が、SAMP1系マウスの第16番染色体上に存在することが強く示唆された。さらにその前後のマーカー遺伝子座での分離比から、遺伝子の存在領域は最大でD16Mit203(55cM)とD16Mit53(68.65cM)マーカーの間であることも明らかとなった。マウスゲノムデータを参照すると、この領域には83個の遺伝子が存在する。今後、FVB/NとSAMP1系統間での、これら遺伝子の変異(多型)検索により、潰瘍性大腸炎抵抗性遺伝子の同定が可能と考えられた。
すべて 2009 その他
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Experimental Animals 58
ページ: 421-425
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http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/department/doctor/grdkarei/i-byotai/index.html