研究課題
全国の国立大学で飼育されている実験動物マカクは、約40%のBウイルス抗体陽性率で、ニホンザルにおいても34%の抗体保有率が認められた。さらに、Bウイルスのゲノム解析結果から、ウイルス亜系の存在を明らかにし、その亜系がマカク種毎に存在することを示唆してきた。滋賀県産ニホンザルの三叉神経節からBウイルスのゲノム片検出に成功し、野生の日本産ニホンザルにもニホンザル固有のBウイルスが潜伏感染していることを遺伝子レベルで証明している。現在、HVP2のOU1-76株をELISA用代替ウイルス抗原として用いている。ただ、このウイルス株は、マウスに病原性の強い株であり、感染事故等の問題が生ずる可能性がある。これを回避するため、病原性の低いHVP2ap株のいずれかのウイルス株に変更可能かどうか検討した。HVP2apのA951、OU2-5、OU4-8の各株について、ウイルスを入手し抗原の特異性・感度について、OU1-76株と遜色ないことを確認した。現在汎用しているIgG-ELISA法は、劇物を用いた発色系のシステムである。充分な感度が得られているが、他機関との検査・診断結果に相違が生じた場合、複数の診断方法で検証できるメリットは非常に大きい。そこで、化学発光系のIgG-ELISA法を確立したものの、感度の点で既存の方法を大きく上回ることはなく、検査費用の点で導入しないこととした。米国で分離されたチンパンジー固有のaヘルペスウイルス(ChHV)のゲノム解析を継続して行っているところである。
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Comparative Medicine 57
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