研究課題
基盤研究(B)
ヘルペスウイルスは、数多くの動物種から宿主固有のウイルスが分離されている。マカカ属サル(マカク)固有のサルヘルペスBウイルス(Bウイルス)は、感染により本来の宿主を死亡させることはないが、ヒトに感染すると重篤な脳炎を招き、死亡症例も報告されている。ウイルス性人獣共通感染症を引き起こすウイルスとしてわが国では危険度がレベル3(少量・診断)~レベル4(動物感染実験)に分類されている。これまで研究・調査等から全国の国立大学で飼育されている実験用マカクは、約40%のBウイルス抗体陽性率であることが明らかになっている。Bウイルスは国内では実質的にウイルスそのものを扱うことは困難で、実用的な診断用抗原の作製を行うことは不可能な状況が続いていた。そこで、マカクに近縁のヒヒを宿主とするαヘルペスウイルス(HVP2)を代替抗原として用いたIgG-ELISA診断法を開発した。抗原として使用したHVP2のOU1-76株はマウスに脳炎を惹起するもののヒトでの感染例は報告がなく、レベル2の微生物としての取扱いが可能である。近年、米国においてHVP2のマウス無症候性株(HVP2ap)が発見され、診断用抗原として十分な信頼性を有するかどうか検討を加え、可能であればOU1-76に替わる抗原として共用開始する計画である。また、チンパンジーやリスザルのαヘルペスウイルスのゲノム解析を行うとともに、検査系の確立を目指す。
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九州実験動物雑誌 25
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九実験動物雑誌 25
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九州実験動物雑誌 23
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