研究概要 |
本実験の目的は,高磁場MR装置を用いてパーキンソン病の画像診断法を開発することである。本年度は以下の研究を行った。 MR測定装置と測定方法の改良:シングルパルス法にて,既製のコイルを用いて少量のフッ素化合物の信号検出を試みたところ,Backgroundの大きなノイズピークのために信号の検出が困難であった。独自に作成したコンデンサーを用いて,^<19>F信号検出コイルを作り直した結果,本妨害ピークを除去することができ,少量のフッ素信号の検出も可能となった。5-FU化合物を用いて,測定方法の改良を試みた。その結果,^<19>F-FSEにfast recovery(FR)を追加することにより検出感度は明らかに向上した。また,パルスプログラムと撮像パラメータの最適化を行った。フッ素を用いたMR画像化試薬の開発:フッ素を結合させたペプチドを合成し,そのペプチドを用いてドーパミン産生細胞や神経幹細胞を標識し,フッ素MR画像法で画像化する実験に成功した。その他,パーキンソン病のMR画像診断薬の母核になりうる化合物について,NMR装置を用いて、溶液内,脳組織内でどのようなNMR信号が得られるか検討を行った。この検討の結果,診断薬を脳内に注入すると、フッ素MR信号が強く抑制される現象が見られることがわかった。この現象はほとんど知られておらず,平成20年7月に米国シカゴ市で開催される世界アルツハイマー病会議および平成20年5月22日-23日までさいたま市で開催される日本分子イメージング学会で報告する予定である。 本研究の成果の一部を国際学術誌および第37回北米神経科学会議で報告した。
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