研究概要 |
本研究は,生体内に投与した各種蛍光ラベル剤からの蛍光分布を断層画像として計測することにより,生体生理機能やがんなどの病態を非侵襲診断する技術を開発することを目的とする。そのための手段として,励起レーザー光と同時に集束超音波を生体に照射し,音響光学効果により光を強度変調することにより発生した変調蛍光信号を高感度検出し,光散乱媒質中での蛍光強度の空間分布情報を獲得する超音波タグ蛍光断層画像計測技術の確立を目指す。平成19年度では,これまでの検討から推定されていた単一超音波発振素子による蛍光検出可能到達深度について,実際の生体試料を用いて実験を行い,近赤外光を用いて深さ30mmに埋設した直径3mmの蛍光体を数mmの分解能で検出することが可能であることを実験的に示した。また,本手法をアレイ型超音波発振素子を用いて実現するための,フォーカススキャニング制御機構についてコンピュータシミュレーションを行った。これは単一素子を用いた場合機械的走査が必要なのに対し,アレイ型超音波発振素子を用いることにより電子走査が可能になり,診断を目的とした実用的プローブ化を目指す上で不可欠な技術となる。シミュレーションおよび回路設計に必要な基礎実験を経て,駆動回路およびソフトウエア設計を行い,超音波タグ蛍光検出用プローブ駆動装置の試作を行った。現状において,試作回路の評価実験を行うとともに,アレイ型素子を用い,変調蛍光の検出が可能であることを実験的に確認した。現在,アレイ型素子駆動プログラムの開発を行っており,平成20年度以降,光学系を組み合わせたプローブ化の研究を行い,本課題の最終ターゲットである医用診断装置プロトタイプ機としての,センチネルリンパ節蛍光断層画像計測装置の開発を目指す。
|