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2007 年度 実績報告書

フルオラス相互作用を用いる機能性糖鎖デバイスの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19300168
研究機関東京大学

研究代表者

畑中 研一  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70167584)

研究分担者 粕谷 マリアカルメリタ  東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30334361)
水野 真盛  (財)野口研究所, 研究部, 研究員 (40271506)
戸治野 真美  (財)野口研究所, 研究部, 研究員 (70435551)
キーワード糖鎖 / プライマー / フルオラス / グリコシル化 / 臨界ミセル濃度 / 表面張力 / 細胞膜 / フルオラスタグ
研究概要

(1)フッ素原子を有する糖鎖プライマー(フルオラスプライマー)の合成
フッ素を含む長鎖アルコールとしては、パーフルオロヘキシルヘキサノールやパーフルオロデシルエタノール、パーフルオロオクチルブタノール、パーフルオロオクチルプロパノール、パーフルオロオクチルエタノールを用いて、オクタアセチルラクトースとのグリコシル化によりフッ素を含む糖鎖プライマーを合成した。これらの含フッ素アルコールに細胞膜の疎水性部分と親和性があることが細胞膜を通過する際の必須条件となるが、水溶液中では、フルオラス化合物と疎水性化合物は水の水素結合ネットワークから逃れ、集合する傾向にある。フルオラス層を形成しないような条件にすれば、フッ素を含む糖鎖プライマーは細胞膜に突き刺さっていくと考えられる。フルオラス層を形成しないような条件とは、フッ素化合物が集合していない状態のことを指すのであるから、この場合には、フッ素を含む糖鎖プライマーが培地に溶解していて、しかもミセルを形成しない濃度(臨界ミセル濃度以下)であればよいことになる。本研究では、フッ素を含む糖鎖プライマーの臨界ミセル濃度を測定した。その結果、フッ素を含む糖鎖プライマーの臨海ミセル濃度は10-20μMであり、細胞に投与する濃度ではミセル形成が起こっていると考えられる。但し、系中には単量体も存在するため、この単量体が細胞膜に突き刺さっていくと考えられる。このことを裏付けるため、フッ素を含む糖鎖プライマーとフッ素を含まない糖鎖プライマーとの混合物の水溶液の表面張力を測定することにより、フッ素を含む糖鎖プライマーが細胞膜と親和性があることを見出した。
(2)フルオラスプライマーへの糖鎖伸長反応
パーフルオロヘキシルヘキサノール(C6F13C6H12OH)およびパーフルオロデシルエタノール(C10F21C2H4OH)とグルコース、ガラクトース、ラクトースから合成される(βグリコシド結合した)6種類の糖鎖プライマーを用いて、B16メラノーマ細胞に対する細胞毒性、糖鎖プライマーの細胞内取り込み、糖鎖伸長反応などについて調べた。また、各フルオラスプライマーの細胞毒性について詳細に調べ、細胞毒性の原因として、細胞膜との相互作用などを物理化学的な立場から検討した。
(3)フルオラスタグを有するグリコシドの溶解性の検討
本研究における抽出では、酢酸エチルを用いて原料であるフルオラスプライマーを除いた後、パーフルオロブチルエタノールにより糖鎖伸長しかフルオラスプライマー(生成物)を抽出することに成功した。また、逆相クロマトグラフィーによる分離にも成功した。
(4)フルオラスタグを有するグリコシドのフルオラス材料への固定化
市販のフッ素化材料へのフルオラスタグ付きオリゴ糖の固定化を行った。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Simple and convenient synthesis of a fluorinated GM4 analogue2007

    • 著者名/発表者名
      M. C. Kasuya, A. Ito, K. Hatanaka
    • 雑誌名

      Journal of Fluorine Chemistry 128

      ページ: 562-565

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibitory effects of glycopolymers having globotriose and/or lactose on cytotoxicity of Shig2007

    • 著者名/発表者名
      A. Miyagawa, M. C. Kasuya, K. Hatan
    • 雑誌名

      Carbohydrate Polymers 67

      ページ: 260-264

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lyso-GM3, its dimer, and trimer : their synthesis, and their effect on epidermal growth factor2007

    • 著者名/発表者名
      Y. Murozuka, N. Watanabe, K. Hatan
    • 雑誌名

      Glycoconjugate Journal 24

      ページ: 551-563

    • 査読あり
  • [学会発表] Fluorinated Saccharide : Versatile Scaffolds for Oligosaccharide Synthesis Using Cells2007

    • 著者名/発表者名
      M. C. Kasuya, K. Hatanaka
    • 学会等名
      The 2nd International Symposium on Fluorous Technologies
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2007-07-30

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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