(1)フッ素原子を有する糖鎖プライマー(フルオラスプライマー)の合成 フッ素を含む糖鎖プライマーの臨界ミセル濃度を測定した。その結果、フッ素を含む糖鎖プライマーの臨海ミセル濃度は10-20μMであり、細胞に投与する濃度ではミセル形成が起こっていると考えられる。但し、系中には単量体も存在するため、この単量体が細胞膜に突き刺さっていくと考えられる。このことを裏付けるため、フッ素を含む糖鎖プライマーとフッ素を含まない糖鎖プライマーとの混合物の水溶液の表面張力を測定することにより、フッ素を含む糖鎖プライマーが細胞膜と親和性があることを見出した。その結果、フルオロメチレン基の疎水性はメチレン基の約1.5倍程度であることを発見した。 (2)フルオラスプライマーへの糖鎖伸長反応 パーフルオロヘキシルヘキサノール(C6F13C6H12OH)およびパーフルオロデシルエタノール(C10F21C2H4OH)とグルコース、ガラクトース、ラクトースから合成される(βグリコシド結合した)6種類の糖鎖プライマーを用いて、B16メラノーマ細胞に対する細胞毒性、糖鎖プライマーの細胞内取り込み、糖鎖伸長反応などについて調べた。また、各フルオラスプライマーのリポソームへの導入について詳細に調べ、リポソーム膜との相互作用などを物理化学的な立場から検討した。 (3)フルオラスタグを有するグリコシドの溶解性の検討 本研究における抽出では、酢酸エチルを用いて原料であるフルオラスプライマーを除いた後、パーフルオロブチルエタノールにより糖鎖伸長したフルオラスプライマー(生成物)を抽出することに成功した。また、逆相クロマトグラフィーによる分離にも成功した。 (4)フルオラスタグを有するグリコシドのフルオラス材料への固定化 市販のフルオラス材料へのフルオラスタグ付きオリゴ糖の固定化を行った。
|