研究課題/領域番号 |
19300174
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
安達 栄治郎 北里大学, 大学院・医療系研究科, 教授 (30110430)
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研究分担者 |
西山 敏夫 東京農工大学, 農学部, 教授 (60372455)
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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キーワード | 高密度培養装置 / 人工皮膚子 / キメラ蛋白 / 表皮増殖因子 / 人工肝臓 / 血液凝固因子 / アルブミン / 滑面小胞体 |
研究概要 |
平成20年度は私たちの開発したバイオリアクターにより人工真皮上にヒト表皮細胞を播種して人工皮膚を作成する方法を確立した。この時、表皮細胞と共に人工皮膚モデル作成時に表皮細胞増殖因子(EGF)とバクテリアのコラーゲン結合蛋白質のキメラ蛋白質(EGF-CBD)を作用させることにより、表皮細胞の重層化を惹起する。こうして作成した人工皮膚を形態学的に検索したところ、表皮基底細胞の基底面には部分的に基底板が形成されていた。またフィブリリン線維が基底膜直下に多数観察され、我々が先に報告した人工皮膚の微細形態(2001Exp.Res.)と同様の所見であり、EGF-CBDの表皮形成促進作用を確認した。 上記バイオリアクターを用いて肝臓の皮膜に相当する人工結合組織と肝細胞に見立てたHepG2細胞(株化された肝腫瘍由来細胞)と同数の線維芽細胞を含む細胞層、更に人工組織を積層した三層の人工肝臓組織を12時間以内に作成できる。平成20年度においては人工肝臓組織を生化学的に検索したところ肝臓特異蛋白質である血液凝固因子の発現が5倍以上に上昇していた。しかしながら薬剤代謝系酵素の発現は確認できなかった。形態学的に検索したところ、HepG2細胞には粗面小胞体やゴルジ装置は多数観察されたが、薬物代謝系酵素群が局在するとされている滑面小胞体は観察できなかった。これらの結果からHepG2細胞を用いた人工肝臓組織においてはアルブミンや血液凝固因子など分泌性の蛋白質は産生されているが、薬剤代謝系酵素群など非分泌性蛋白の発現は回復していないことが明らかになった。 これらの成果は平成21年度において学会発表を行う予定であり、すでに特許申請を済ませたことから3篇の論文として執筆中である。
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