ヒト由来間葉系幹細胞の細胞電気生理学的特性の調査:in vitroでヒト間葉系幹細胞から心筋を誘導し、同細胞に対し電気生理学的な検討を行った。心筋誘導数日で活動電位の安定が認められ、心筋誘導効率の高い細胞ほど、心筋誘導後より短期間に電気的安定性が生じる事が解った。このことは心筋誘導効率を高める努力が、再生医療に伴う不整脈源性を改善する可能性を示唆している。 In vivo心筋梗塞モデルにおける、ヒト間葉系幹細胞移植:我々の有している間葉系幹細胞、月経血間葉系幹細胞を用いた。Nude Rat心筋梗塞モデルに対して心筋梗塞部位に細胞移植を行った。その結果移植後2週間目に心機能の改善を確認し、さらに心筋梗塞巣の縮小を認めた。また一部であるが心筋梗塞巣で、移植した月経血が明瞭な横紋構造を有した心筋細胞への分化を確認出来た。 In vitro心筋誘導アッセイシステムを用いた、心筋誘導因子の探索:現在心筋を誘導する必要十分な因子の同定には至っていないが、心筋誘導補助因子の同定に成功している。同心筋誘導補助因子を用いて、心筋への分化誘導能力が低いとされていたヒト骨髄間葉系幹細胞の心筋分化誘導能力の改善をin vitroで確認した。この心筋誘導補助因子が細胞移植による心機能改善効果を増強するか否かをin vivoモデルで観察する。この細胞の前処置によって従来効果が弱いと考えられていたヒト骨髄間葉系幹細胞の治療効果を改善する事が出来る。 ヒト骨髄間葉系幹細胞は自己細胞を利用出来るため、免疫学的な拒絶を生じる事が無く、倫理的に問題も無く、自己細胞を用いるためESやiPS等で想定されている腫瘍源性が無いと考えられている。
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