ヒト由来間葉系幹細胞(骨髄・月経血・子宮内膜・胎盤・羊膜・膀帯血等より採取)を心筋に分化させた。誘導率はそれぞれ骨髄0.3%、月経血30%、子宮内膜90%、胎盤13%、臍帯血40%であった。心筋細胞の誘導率の違いによる活動電位変化・経時的変化を観察する為に、ヌードラソト心筋梗塞モデルを作製し、心臓超音波検査施行後にヒト骨髄間葉系幹細胞を打ち込みさい移植した。移植2週間後に再度心臓超音波検査を施行し左室心機能の観察、左室内圧の測定で機能解析を行った結果、心筋誘導効率の違いと比例して、左室収縮率は骨髄と比して有意に増大し、心筋梗塞巣も有意に縮小した。またこの際心電図記録では明らかな際不整脈や、経過中の突然死等は存在しなかった。たとえ心筋誘導効率が改善したとしても、成熟した心筋細胞から生じる催不整脈性は強く無い物と確認できた。また組織学的検討において、左室心筋梗塞巣に、心筋へと分化したヒト由来間葉系幹細胞の存在を確認した。同様の実験を間葉系幹細胞で細胞シートを作製し行った。移植した細胞は心臓表面に残存したいたが局所での心筋分化は生じていなかった。しかしながら、移植部位とは離れた部位で心筋へ多数分化してる像が確認できた。 更にin vitro心筋誘導アッセイシステムを用いて、2種類の薬剤と2種類のサイトカインが心筋誘導効率を改善させる事を確認した。従来の培養方法で0.3%であった骨髄由来の間葉系幹細胞の誘導率が、薬剤やサイトカインを添加することで20〜40%までに改善された。
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