Acetal基を片末端に導入したPEGから、Acetal-PEG-b-PAAcを合成することがプロトコル上困難であることが明らかになったので、PEG-b-PAAcにストレプトアビジンを導入する方法に代わる方法としてPEG-b-PAAcとストレプトアビジンをUC発光粒子上に共固定することで、LIA標識としての複合化UC発光体を得ることに成功した。ガラス基板上にビオチンを固定化したプレートを用意し、この方法で得られた複合化UC発光体ついて、プレートアッセイによりLIAのための抗体標識としての性能評価の評価を行ったところ、プレート上のアビジン量に比例した発光量が得られること、粒子が生理条件下で良好な分散安定性を示すことが明らかになった。従って得られた複合体は極めて良好な、赤外光励起によって診断が可能なLIA標識であることが示された。 アップコンバージョンを用いたPDTについては、平成19年度に作製したポルフィリン修飾UC発光粒子に赤外光を照射し、得られたUC発光によるポルフィリンからの活性酸素の発生の検出を試みた。しかし、活性酸素の検出がきわめて困難であったことから、ポルフィリン修飾UC発光粒子からの活性酸素の発生は確認することができなかった。ポルフィリンを用いないPDTデバイスの創製のために、TALH/PDDA相互積層膜をスライドガラスおよびエルビウムドープイットリア粒子表面に形成し、熱処理することによりチタニアアナターゼ膜を表面に有するUC発光粒子の作製を試みた。交互積層法により数nmのチタン含有相をスライドガラス状に形成可能であること、また、UC発光粒子表面にもチタン含有相を形成可能であることが示された。
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