研究課題/領域番号 |
19300182
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 宣明 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (50019634)
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研究分担者 |
黒田 俊一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60263406)
仁宮 一章 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10379125)
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キーワード | 二酸化チタン / 超音波照射 / ナノ粒子 / 肝がん細胞 / DDS / 担がんマウス / アポトーシス / OHラジカル |
研究概要 |
我々は光触媒として知られている"二酸化チタン"に超音波を照射すると活性酸素種(OHラジカル)が生成する現象を明らかにしている(二酸化チタン・超音波触媒法)。そこで、この現象を新規がん治療法として応用展開することを目標とした。すなわち、「腫瘍細胞を特異的に認識する機能性光触媒ナノ粒子」と「二酸化チタン・超音波触媒法(TiO_2/US法)」とを融合した、非侵襲的かつ臓器機能温存型の「新規がん治療法」の確立が本申請研究の目的である。 昨年度までモデルタンパク質としてB型肝炎ウイルス由来のタンパク質(遺伝子組換えpreS1/S2タンパク質)をTiO_2ナノ粒子(直径約100nm)表面に化学修飾することで、肝細胞を特異的に認識するナノ粒子(preS固定化TiO_2)を作製した。本年度はこのTiO_2ナノ粒子を用いて、in vitroでの培養がん細胞(HepG2)に対する細胞障害メカニズム、さらにin vivoでの担がんマウスに対する抗腫瘍効果を調べ、以下の結果を得た。照射強度0.1W/cm^2、照射時間30秒でTiO_2/US法を適用した場合、細胞増殖抑制を確認することができ、その効果は照射後24時間から時間経過とともに増大した。細胞の形態変化を観察したところ、TiO_2/US法を適用した細胞群ではHepG2が接着能を失い培養液中に浮遊する様子が観察することができた。さらに、ミトコンドリア膜電位の低下、核の凝集、膜のリン脂質の局在変化の解析により、TiO_2/US法適用時に見られる細胞損傷機構はアポトーシス誘導に起因することが判明した。 超音波照射のみでは担がんマウスの腫瘍成長を抑制することはできなかったが、TiO_2/U.S.法を適用することで抗腫瘍効果が認められ、週3回の頻度で超音波照射を行った場合、照射強度1W/cm^2、照射時間1minが最適な照射条件であることが判明した。
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