研究課題
PET装置の解像度と感度をともに向上するDOI検出器の性能向上は重要である。DOI検出器を構成する結晶素子間に充填する接着剤の屈折率によりDOI特性は変化する。そのため実験により、素子に使用する結晶の条件により最適な屈折率を持つ結晶間物質を選ぶことで、検出器の結晶識別性能が向上することを明らかにした。また、DOI検出器において、層ごとにシンチレータの種類を変えることにより散乱成分の軽減が可能となり画質が向上できることを、シミュレーションで立証しか。また、四角柱型結晶を三角柱型に変えることで、全身PET用検出器としてサンプリング間隔の大きな位置弁別型の受光素子を用いる場合に結晶配列内の光の広がり方が変わり、結晶識別を向上できる可能性があることを示した。さらに、受光素子として光電子増倍管の代わりにガイガーモードAPDを用いた4層DOI検出器を試作し、そのDOI特性が良好であることを実験により示した。感度を向上するためのTOF-PET装置用の検出器では、時間特性の向上が望まれる。そのための検出器を設計する場合、結晶ブロックの視野に近い側に受光素子を光学結合した方が、時間特性を向上でいることから、画質向上を期待できることを基礎実験で示した。さらに、PETの次世代高速・高感度・高解像力検出器として、シンチレータ素子配列に対して受光素子配列を3次元的に光学結合するX'tal cube検出器を新規に提案した。実用的なX'tal cube検出器を実現する第一歩として、一面に受光素子を配列した検出器を試作し、位置弁別を最適化する受光素子配列法を見いだした。一方、測定対象部位の両側にリング状に検出器を配置するOpen PET方式に関しては、画像最構成が可能な検出器の配列の条件を導出し、体軸視野を拡張するための検出器配列法を考案した。
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