研究課題
我々は、本プロジェクト初期に開発した抗モータリン抗体が細胞に内在化するという特異的性質に関し、分子生物学的手法を用いて研究を継続した。ハイブリドーマから精製した抗体の細胞内での挙動を観察するために、抗体を4種類の量子ドット(Ab-QD525,Ab-QD655,Ab-QD705,Ab-QD800)と結合させた。これらの細胞内在化特性を様々なガン細胞種を用いて検証した。量子ドット結合抗モータリン抗体を用いることによって、光学イメージング手法により追跡可能なマルチカラー細胞を作製することに成功した。抗体の細胞内在化効率を、モータリンの発現量の異なる細胞を用いて比較した。我々は、1)ガン細胞は正常細胞と比較して細胞内在化率が高いこと、2)ガン細胞において、内在化率はモータリンの発現量に依存した関係にあることを発見した。これらは、レトロウィルスベクターを用いて作製したモータリン発現細胞においても確認した。細胞を分画することにより、細胞内在化抗体の細胞内局在を決定した。これはミトコンドリア特異的な染色試薬であるミトトラッカーとの多重染色により確認した。さらに、核へ移行するモータリン変異体を発現させた細胞を作製した。これらの細胞において、内在化した抗体はタンパク質の場所により決定される抗体の細胞内局在を示す格に存在していた。また、ガン浸潤および骨分化モデル用いた動物実験についても継続して行った。予備的なデータとして、量子ドットラベルしたガン浸潤細胞をマウスの尾静脈から注入し、6-8週間後に肺でそれらの細胞を検出できることを確認した。浸潤診断技術開発のさらなる標準化を今後行っていく。これらのことから,抗モータリン抗体が、細胞レベル、動物レベルでのバイオイメージング技術、診断技術の開発に用いるために、信頼性が高く非常に有用であることを実証した。
すべて 2009
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Human Gene Therapy 20
ページ: 1-7
Protein & Peptide Lett. 16
ページ: 517-529