研究課題
脳卒中患者に対するリハビリ訓練の評価を臨床検査所見や生化学的な面から検証した報告は少ない。これまでに、入退院時の患者血清中に含まれる各種サイトカイン量をELISA法により定量し、ADLとの相関を評価した。次に2D-PAGEによるタンパク質の網羅的な検討を行った。その結果、入院時と退院時また患者間においてもタンパク質構成が一部異なることが示唆された。現在、これらの結果を動物実験で確認を行う試験を行っている。すなわち筋肉に関連する動物実験を計画し、(1)運動障害をもつB-6wobマウスを育成し後肢に歩行障害が現れる個体の脳および筋肉の解析を行った。(2)マウス、ラットの後肢をギブス固定し、萎縮性筋廃用のモデルを作製する方法条件を検討した。(3)ヒトおよび動物の血清を用いUPLC装置による遊離アミノ酸の解析を行った。それらの結果(1)B-6wobマウスは小脳の萎縮が観察されそれによる歩行異常が示唆された。また筋肉成分を2D-PAGEで検討を行ったところアクチンの発現が弱まっていた(第8回形態機能学会2009)(2)健常者に対し運動負荷を与え、血清および尿を用い筋肉代謝成分の変動をUPLCではグリシン、イソロイシン、アスパラギン酸などが、ADLのFIM効果に相関が認められた(第19、20回生物試料分析科学会学術集会2009、2010および第64回日本体力医学会大会2009)。このように生体微量成分の解析法を構築しつつ、リハビリ訓練効果を評価するマーカーを見つけるための実験を進めているところである。本研究はリハビリ訓練効果を生化学的に評価することにある。関連するサイトカイン、タンパク、ペプチド、アミノ酸、微量元素などが特定されれば、さらに臨床において、ADLやFIMの評価とともに相関性を検証し、"生化学的マーカーでリハ訓練効果の評価"という事例を示し当該分野の発展の一助となることが期待できる。
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Am.J.Phys.Med.Rehabil. 89(2)
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http//www.fujita-hu.ac.jp