研究概要 |
本研究は、視覚障害のリハビリテーションであるロービジョンケアをロービジョン者の生活の場である自宅に拡大して実践し、その効果を検証して訪問リハビリテーションの有用性と適切なケアのあり方を明らかにすることを目的とした。本研究は、諸般の事情により今年度の計画を19年3月末までに終了できなかったため、20年11月30日まで繰越すことを申請し許可された。まずプログラム作成委員会を組織し、2回の作業部会、4回の全体会議による討議を経て、拡大リハビリテーションプログラムを作成した。京都府立医大、東北大にて試験的に実施し、プログラムを改良した。また、介入研究の開始に先立ち、すでに拡大読書器を保有している者を対象に実態調査を行い、ケア希望者を募った。実態調査の結果、回答者の約9%が機器を使用しておらず、17%は1ヵ月に1,2回程度の使用状況であった。また、機器の使い方は販売業者から指導を受けた割合が79%であり、眼科医や視能訓練士の指導は少なかった。月に1,2回以上使用している者は未使用の者に比べ、視機能関連QOLが高かった。拡大読書器の使用頻度には、視力と使用目的の多さが影響していた。 介入研究は、患者の本登録を20年7月より開始した。事前の実態調査参加者からは、3名が介入研究に参加した。11月30日時点で、4施設(京都府立医大、東北大、多治見市民病院、岐阜大学)から、13例が登録された。そのうち、8例が訪問による拡大ロービジョンケア群に振り分けられ、7例の訪問ケアが終了した。
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