研究概要 |
二人で並んで歩くときに自然と歩行リズムが同調することは誰にも経験があるだろう.しかし,このようなインターパーソナルな相互同調のメカニズムは十分には明らかにされておらず,臨床応用としてもほとんど進んでいない.そこで,われわれは非線形振動子を用いて構成される歩行リズムの生成モデル(仮想的歩行ロボット)と人間の歩行リズムの間で,足接地のタイミングを音刺激として交換する相互同調システムを構成してきた.本研究は,このシステムをパーキンソン病の歩行障害に適用し,歩行リズムの安定化と転倒予防への有効性を評価したものである.その結果,歩行周期の連続的減少として定義される加速歩行の緩和,および歩行周期ゆらぎの動的安定化を確認した.これらの結果は相互引き込みに基づくインターパーソナルなリズム同調の歩行安定化への有効性を示している.
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