研究課題/領域番号 |
19300203
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
田中 敏明 札幌市立大学, 札幌市立大学・デザイン学部, 教授 (40248670)
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研究分担者 |
伊福部 達 札幌市立大学, 東京大学先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
武田 秀勝 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10048134)
泉 隆 北海道東海大学, 工学部, 教授 (80193374)
敦賀 健志 北海道工業大学, 福祉生体工学科, 准教授 (60337011)
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キーワード | 視空間認知障害 / バリアフリー機器 / 視覚情報呈示 / 福祉工学 / 神経工学 |
研究概要 |
本研究の目的は半側空間無視(USN)の障害度をより客観的に評価し、視空間認知障害を代償可能とする画像呈示方法を検討し、視覚情報バリアフリーデザイン機器開発のための基礎研究を行うことである。平成19年度は半側空間無視研究のためのCCD付きヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)システム開発に関する以下の技術的課題2項目を解決することとした。課題1:患者への身体負荷を軽減するためHMDおよびコントロールユニットの小型化、課題2:HMDに投影するための入出力を2とし両眼立体視を行えるように2入出力とする。結果として、HMDは市販されている小型軽量な製品を使用し、かつ、CCDカメラ部分についても小型軽量なカメラヘッド部分を用い、一体化する筐体を軽量な樹脂などを使用して作成しHMD全体の軽量化を試みHMD本体を600gから350gまで軽量化に成功した。また課題2の入出力も可能となった。今後の課題は、コンピュータでの画像処理後のHMDへの視覚情報呈示を遅延最小限に抑え映像の縦横の任意サイズへの拡大縮小を可能とし、障害の無い部分に視覚情報を呈示するシステムを構築する。臨床研究として、半側空間無視患者の無視領域を正確に評価するために、眼球運動と頭頚部運動を複合的に評価することが有効な方法のひとつと考えられるが、現状では実用的な方法がない。本研究は、市販機器を組み合わせて眼球運動と頭頚部運動を同期して計測する基本的な動作解析システムを構築した。具体的なシステム構成としては眼球運動と頭頚部運動を2台のビデオカメラで撮影し2つの動画を合成した。眼球運動は、超小型カメラを搭載したヘッドユニットを製作し、頭部に装着して撮影した。頭頚部運動はハイビジョンビデオカメラを被験者の正面に設置して撮影した。これにより、眼球運動、頭頚部体幹運動を同期して記録分析可能とし、無視領域をより正確に評価できるシステムを構成した。本システムは次年度において分析することとした。また、健常人10数名に新型HMDを装着させ、装着快適性、画像の理解度、バーチャル酔いの有無なども調査し概ね良好であった。以上より、本年度の課題は達成され、加えて臨床研究も進められたことにより、次年度の研究課題遂行も十分可能と考える。
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