研究分担者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
武田 秀勝 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10048134)
泉 隆 東海大学, 生物理工学部生体機能科学科, 教授 (80193374)
敦賀 健志 北海道工業大学, 福祉生体工学科, 准教授 (60337011)
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研究概要 |
本研究の目的は、空間の認知が困難になる半側空間無視(USN)などの視空間障害度をより客観的に評価するため視覚情報バリアフリー機器開発のための基礎研究を行うことである。 本年度は、前年度に製作した新型CCDカメラ付きHMD(Head Mounted Display)による視覚呈示方法システムを用いUSNにおける座標系障害(身体中心座標と物体中心座標)を明らかにすることとした。特に、身体を中心に対象物の方向を位置づける身体中心座標と身体以外の対象物または自分以外の物体を中心に位置づける物体中心座標条件をCCDの設置方法で人工的に作り,机上検査と動作分析により USN障害像について検討を進めた。成果としては、(1)HMD 自体の装着時快適性に関して、健常人および患者を中心にモニター調査を行い、装着感の良いデザインをほぼ獲得できた。次に(2)CCDカメラで物体にのみ集中させる物体中心座標条件とCCDカメラをHMDに合体させUSN患者の動きに一致させた身体中心座標条件を本システムで3次元的に作りだすことに成功した。次年度では、より動的条件下でのバーチャル酔いを考慮しながら左右眼での視差調整機構を追加し3次元での空間無視評価と行うこととした。 加えて、(3)異なる座標条件(物体および身体中心座標)での分析では,CCDカメラ付きHMD)の評価に加え,眼球運動および頭部・体幹運動の同期計測分析も実施した。通常の空間無視の机上検査(BIT行動性無視検査)の線分抹消試験と、HMDを用いたBIT検査を比較検討した。結果として、通常検査では得られない、眼球・体験運動の特性と空間無視の障害状況を物体および身体中心座標条件下で見いだせた。また、(4)画面縮小,注意喚起用矢印などをHMDを用いて視覚情報呈示を行うことにより無視環境を改善させ得る可能性が示唆された。以上より、本年度の課題はほぼ達成された。次年度においてはよりUSNの障害度を分析評価し、新しい視覚情報呈示方法の検討課題を十分遂行できると考える。
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