【目的】:本研究ではfMRIとCGを用いて作成したバーチャル空間を利用して、予測判断トレーニングの効果発揮のメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度については、具体的には以下の点について研究を行った。 (1) テニスのサーブ動作を対象として、前年度に作成したCG映像を用いて、その時の脳活動についてfMRIを用いて測定すし、予測判断の脳活動モデルについて検討する。 (3) さらに、本年度では予測判断を含めた実際のプレーヤーの環境要因に関する調整も行い、スキルトレーニングの実態や勝利意欲など予測判断やプレー向上にむすびつく要因についても検討を加える。 【方法・結果】:実験では具体的に、以下の点について検討を加えた。 昨年度行ったCG開発手法を基に、テニスを対象として予測判断を必要とする代表的な場面を取り出し、実際のゲーム場面に近似したCGを作成した。CG作成の各ステップの精度をさらに高め、最終的に、背景などのCGと合わせて完成度の高いバーチャル空間を完成させ、このCGを用いて予測判断トレーニングを行い、トレーニング前後の効果を検討した。また比較の対象としてビデオを用いたときとの効果を比較した。その結果、CGは実際にビデオを用いたときと同等の効果があることが示され、今後CG映像を用いて動作の変調などの操作を用いたトレーニングの可能性が示された。またfMRIを用いた実験において、予測判断トレーニング時に島皮質の活動を見たところ、予測判断後のフィードバック情報を提示するときに島皮質の活動が高まることが示された。このことは、予測判断トレーニングによって強化学習の効果が出現しトレーニング効果につながることが示唆された。なお、調査研究においては予測判断トレーニングを含め勝利意欲と環境要因についての検討なども行った。
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