今回は以下の2点を検討した。 運動習慣形成のメカニズムに関する研究:SPORTSラットの心拍数の上昇、運動の亢進が交感神経系によるかどうかを明らかにするために、種々の薬剤の慢性投与を行って検討した。β遮断薬では、運動量は減らず、また心拍数にも変化はなかった。Ca拮抗薬のベラパミルにより、心拍数が低下したが、運動量は変化が見られなかった。α1遮断薬により運動量の低下が見られた。以上より、運動が交感神経系β受容体の亢進によるものでなく、α受容体を介したものであることが示された。また、心拍数の上昇は交感神経系の遮断によっても低下せず、Ca拮抗薬により低下した。摘出した新生仔心臓の培養細胞では、Ca電流の増大による自動心拍数の増大が認められた。 代謝に対する影響:以前の研究により、SPORTSラットは、対照のWister系ラットよりもインスリン感受性が高いことが示された。今回は高脂肪食を負荷し検討した。SPORTSラットは対照ラットより、体重増加が少なく、血糖値(糖負荷前後)、脂質の値が有意に低く、またインスリン感受性も良好であった。この原因として、交感神経系の亢進による脂肪分解の促進が考えられた。
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