1)純系の確立と供給システムの整備 SPORTSラットをさらに交配を続け純系を確立し、他の研究グループと共同研究を開始した。本ラットを用いて、(1)安静による筋肉萎縮機構とSPORTSラットにおける抑制機構、(2)ペプチドホルモンによる運動と食欲の制御、(3)SPORTSラットにおける心筋の収縮機構、(4)心房内血栓の形成メカニズム、などを本ラットを用いて研究した。 2)安静下における筋萎縮、運動による筋肉の変化について共同で研究を行った。本ラットが安静下(無動拘束下)でも、コントロールラットに比べユビキチンリガーゼの発現が少なく、筋肉の分解が抑制され筋肉の萎縮が少ないことが認められた。 3)SPORTSラットの高脂肪食による肥満抑制 SPORTSラットでは、もともとコントロールラットに比し、体脂肪が少なく、体重が軽い。脂肪負荷によっても体重増加、脂肪蓄積は少なく押さえられた。このメカニズムとして、交感神経緊張亢進による脂肪合成の律速酵素であるacetyl-CoA carboxylase(ACC)の活性化によることを明らかにした。これらの結果はこの交感神経-ACC経路が抗肥満治療薬のターゲットとしても有用であることを示した。 4)運動亢進に対するグレリンの効果 SPORTSラットでは血清および胃のグレリン濃度が低下していた。SPORTSラットにグレリンを投与することにより、摂食量が亢進したと共に、自発運動量の低下がみられた。また、この作用に対してオビスタチンは自発行動を抑制したが、摂食は抑制しなかった。
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