研究概要 |
平成19年度は平均年齢9.2±2.3歳,平均肥満度35.3±13.4%の肥満小児60名(男児33名,女児27名)を対象に周産期の情報,腹部脂肪分布を含む体型指標,血圧、代謝指標について収集した。母親の妊娠前の平均体重,BMIはそれぞれ58.3±11.9kg,22.0±3.8kg/m^2,平均妊娠期間,出生時体重は39.1±1.3週,3178.7±415.5gであった。皮下脂肪面積,内臓脂肪面積はそれぞれ185.9±77.8cm^2,25.2±22.4cm^2,ウエスト径は80.3±11.6cmであった。先行研究にも報告されているように妊娠期間と出生時体重の間に有意な相関関係が認められたが(r=0.467,P=0.0004),今回のサンプル数では妊娠前における母親の体重,BMIと出生時体重との間に相関関係は認められなかった。母親の妊娠前のBMI,子どもの出生時体重と現在の体組成,腹部脂肪分布との間に有意な関係性は認められなかった。血圧、代謝パラメータとの関連では中性脂肪,HDL-C,LDL-C,尿酸,GOT,GPTなど多くの項目で関連は認められなかったが,母親の妊娠前におけるBMI(範囲:17.2〜36.8kg/m^2)と現在における子どもの遊離脂肪酸との間に有意な負の相関関係が認められ(r=0.430,P=0.0013),妊娠前における母親の体型が子どもの脂肪酸代謝に影響を与える可能性が示唆された。次年度以降サンプル数を増やすとともに入院児における解析を進めていく予定である。
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