研究課題
我々は、現在までに大豆イソフラボンが閉経後骨粗鬆症モデル動物において、骨量減少を抑制することを報告してきた。また、閉経後の健常な日本人女性を対象に、大豆イソフラボンの介入試験を行い、イソフラボン摂取群ではダイゼインの代謝産物であるエクオール(Eq)の産生者は、非産生者に比べて骨量の減少率が低いことを明らかにした。これらのことから、エクオール産生を高めることにより、閉経後の骨量減少を効率よく抑えることができると考えられた。そこで本研究では、Eq産生を高める食品成分を検索し、最終的に、ヒトにおけるEq産生能に対する影響を評価した。初年度は難消化性オリゴ糖及び水溶性食物繊維がエクオール産生を亢進することを動物モデルで明らかにした。2年目はエクオール産生者20名について、3年目はエクオール非産生者23名について、閉経後の健常な女性(クロスオーバー試験のため86名分)を対象に、フラクトオリゴ糖(FOS)がエクオール産生に及ぼす影響を評価した。試験は2週間ずつのプラセボ対照クロスオーバー試験を実施し、大豆イソフラボン25mg/日と同時に、FOSまたはショ糖を摂取した。Eq産生は尿中Eq濃度を時間分解蛍光免疫法により測定した。対象者の平均年齢は53歳、閉経後年数は7年であった。結果、すべての群間で、年齢、体組成、栄養素摂取量に有意な差は認められなかった。大豆イソフラボンの摂取によりEq産生者の尿中Eq濃度は上昇したが、FOSの摂取は、Eq産生に関わらず、対象者の尿中Eq濃度に影響しなかった。これらの結果から、閉経後のEq産生者および非賛成者において、少なくとも2週間のFOS摂取により、ダイゼインからEqへの代謝は促進されない可能性が示唆された。今後は、さらに長期間の試験が必要であると考えられた。
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