3次元形状計測を利用した個人の身体形状に適した製品の設計が注目されている。しかし従来の生産手順そのままに計測機と計算機を導入するだけでは、生産コストを実用水準まで下げることは困難である。特に、皮革靴は製造工程に靴型を使うために、個人に適合する個人対応製品の製造は容易ではないし、コンピュータを使ってコストを下げるための手法が開発されていない。このため、本研究では、既存注文靴型の再利用による高適合靴の生産法の開発が望まれている。そこで、本研究の研究目的は、靴型と足形状との適合性評価指標を開発し、店頭で測定された足形状データを入力すれば、予め登録済みの靴型データベースから適合性評価指標を用いて検索し、一定数値以上の適合性が得られた靴型を用いて個人対応の靴を製作する情報システムを開発することである。平成20年度は、足形状の測定データから靴型設計に必要な寸法、長さなどの長さ次元のパラメータを抽出する手法を開発した。また、足形状は平らな床面に載せた状態ではなく、実際に靴を履いたときの靴底曲面に乗った状態での形状計測手法も開発した。これにより、靴型設計のステップの重要な工程をコンピュータ化することができ、足の形状と靴型形状特徴との対応が可能となった。また、実際の靴型製作工程を体験することで靴型設計の細かなノウハウを修得すると同時に、足形状とそれに合する靴型形状との関係を7組実験的に求めることができ、研究の重要な-ステップが進展した。
|