研究課題/領域番号 |
19300241
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (20207707)
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研究分担者 |
松島 恭子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (20132201)
篠田 美紀 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (10285299)
長濱 輝代 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (40419677)
三船 直子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (30336929)
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (90257840)
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キーワード | 幼老統合ケア / 多世代交流 / 三世代交流共生住宅 / 回想法 / 街づくり / 生活文化 / 共生ケア / 複食文化 |
研究概要 |
幼老統合ケアに基づく多世代交流(世代間交流)実践は、3つのタイプ毎に集約できる。(1)多種多様な博物館(=文化的記憶装置)を拠点とする街角の子ども文化・高齢者文化の創造という地域空間における多世代交流実践は、子どもとその母親、高齢者が交流する居場所(大阪市平野区)を拠点に、約8ヶ月間、約30回、伝承遊び、紙芝居、駄菓子屋、音遊びなどを媒介に行うとともに、その成果をインタビュー調査および観察調査で明らかにした。(2)宅幼老所という三世代交流共生住宅での多世代交流実践は、認知症高齢者と学童保育所の子どもが1つの施設の中で交流する様子をインタビュー調査および観察調査で明らかにした。その結果、特に、親や大人の言うことを聞かない子どもに対して、認知症高齢者の影響が大きい(言うことを素直に聞く)ことや、認知症高齢者もそうした子どもとのかかわりで元気になることが実証された。(3)大学周辺の地域を拠点とする多世代交流実践は、子ども-母親-高齢者との継続的交流のもと、回想法、米づくりや料理づくり、伝承遊びや玩具づくり、絵本の相互の読み聞かせや互いの自己語り、参加者全員による、(地域にちなんだ)カルタづくり等々、モノ系とコト系をメディアとしながら、合計、15回の多世代交流を実践した。その結果、参加した高齢者の85%、子どもとその親の95%以上が以前よりも元気になったり充実感や生きがいをもって日々を過ごせるようになったりすることが、血圧計やアンケート調査を通して実証された。特に、育児に忙しい母親にとって多世代交流は、育児を軽減するまでは行かないまでも、体験したことのないことをする機会があるということで、精神的ゆとりやプチ非日常的な体験となることが実証された。また、子どもは、高齢者とかかわることで高齢者が有能であること(難しい折り紙ができるとか、道具の使い方がうまい等々)を認識するに至った(アンケート調査や子どもの作文による)。また、多世代交流を円滑に行うためには、そのインフラとして中心街の復興に基づく街づくりが実践を進める中で不可欠であることがわかり、フィールドワークを通して実践のための適切な環境条件を解明した。
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