研究課題/領域番号 |
19300241
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (20207707)
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研究分担者 |
松島 恭子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (20132201)
篠田 美紀 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (10285299)
長濱 輝代 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (40419677)
三船 直子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (30336929)
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (90257840)
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キーワード | 幼老統合ケア / 世代間交流 / 生活文化 / 幼老複合施設 / 回想法 / 子育て支援 / 街づくり / 複食 |
研究概要 |
(1)平成19年度に引き続き、大学周辺の地域(大阪市苅田地区)の公共施設および小学校(学童保育室)において地域の幼児および母親、小中学生、高齢者(60〜75歳の前期高齢者)による多世代交流を1回につき約6時間、年間で19回実践した。具体的には、紙芝居・絵本の読み合わせや地域のカルタ作りを教材としながら、「子ども世代-母親世代-高齢者世代」といった三世代交流を行った。その成果を統計解析などによって分析した結果、10回以上継続的に参加した高齢者のうち、約85%が生きがいを感じ、約72%が知らない子どもとも話が自然にできるようになった。また、今までお年寄りが嫌いだと感じていた子どもの約95%がお年寄りを身近に感じるようになり、約88%が敬意を払うようになった。こうした結果が出たのは、この地区では核家族に育った子どもが多く、今までお年寄りと接触したり関係を持ったりする機会がなかったことや、多世代交流実践(ものづくり、特にカルタづくり)を通してお年寄りが生活技術面で優れていることを子どもたちが認識したためと考えられる。 (2)大阪府下の高齢者福祉施設(病院付設)において、1回につき2時間、年間で15回の予定で、回想法を用いた、認知症高齢者とその子ども、学生・院生・研究者の多世代交流を実践した。その結果、重度の認知症高齢者のほぼ全員(18名)において、唱歌などの歌を他の世代の人たちと一緒に歌うことにより、他者の声をからだでなぞり、模倣することで互いに共鳴しながら、積極的に歌を歌って楽しむことが多々観察された(会話記録として採取し、質的研究法で分析・解釈した)。こうした現象のことを現象学では「間身体性」と呼ぶが、認知能力や言語能力が著しく減退した重度認知症高齢者にも、「間身体性」が残存し、それが歌を歌うことで想起され、引き出されることがわかった。
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